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広島地方裁判所 昭和50年(行ウ)12号 判決 1980年7月15日

広島県山県郡加計町大字加計三七五二番地の二

原告

有限会社 山県商事

右代表者取締役

佐々木美彦

右訴訟代理人弁護士

人見利夫

広島市安佐北区可部町中野

被告

可部税務署長

山田達雄

右指定代理人

一志泰滋

三森継男

土屋祥一

菅近保徳

益池勝

右当事者間の更正決定処分取消請求事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件訴のうち、被告が昭和四八年六月二九日にした原告の昭和四七年四月一日から昭和四八年三月三一日までの事業年度分法人税についての更正処分のうち所得金額二、二六八、三八八円を超えて取消を求める部分は、これを却下する。

被告が昭和四八年六月二九日にした原告の昭和四七年四月一日から昭和四八年三月三一日までの事業年度分法人税についての更正処分のうち所得金額が金二、二四六、八〇四円を超え金二、二六八、三八八円以下の部分は、これを取消す。

原告のその余の請求は、いずれもこれを棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

一  双方の申立

原告は、「被告が昭和四八年六月二九日にした原告の、(一)昭和四五年四月一日から同四六年三月三一日までの事業年度分法人税についての更正処分のうち所得金額四九七、一八九円を超える部分、(二)同年四月一日から昭和四七年三月三一日までの事業年度分法人税についての更正処分のうち所得金額五五二、七六九円を超える部分、(三)同年四月一日から昭和四八年三月三一日までの事業年度分法人税についての更正処分のうち所得金額八二九、五一九円を超える部分をいずれも取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求めた。

被告は、「原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求めた。

二  原告の請求原因

(一)  原告は貸金業、不動産取引業及びこれらに付随する業務を営む会社である。

(二)  原告は、被告に対し、昭和四五年四月一日から同四六年三月三一日までの事業年度(以下第一次年度という)分、同年四月一日から昭和四七年三月三一日までの事業年度(以下第二次年度という)分及び同年四月一日から昭和四八年三月三一日までの事業年度(以下第三次年度という)分の各法人税について確定申告したところ、被告は同年六月二九日これらについて更正処分をしたが、右確定申告及び更正処分の内容は左記のとおりである。

<省略>

(三)  そこで原告は昭和四八年八月二五日付で被告に対し本件各更正処分について異議の申立をしたが、被告は昭和四八年一一月一〇日これを棄却した。原告は、さらに同年一二月一一日付で国税不服審判所長に対し審査請求をしたが、同所長は昭和五〇年三月三一日第一次、第二次の各年度分については棄却の裁決を、第三次年度分については一部取消して所得金額二、二六八、三八八円、法人税額六二万円とする裁決をし、右裁決は同年四月二四日原告に送達された。

(四)  しかしながら、原告の第一次ないし第三次の各年度分の所得金額は、いずれも原告のした確定申告のとおりであるから、被告のした本件各更正処分のうち右金額を超える部分は原告の所得を過大に評価した違法がある。よ て原告は被告のした本件各更正処分のうち原告の確定申告にかかる所得金額を超える部分の取消を求める。

三  請求原因に対する被告の答弁

請求原因(一)の事実のうち原告が貸金業及びこれに付随する業務を営む会社であること並びに同(二)及び(三)の事実は認める。同(四)は争う。

四  被告の主張

(一)  原告の第一次ないし第三次の各年度分にかかる確定申告、更正処分、異議申立、異議決定、審査請求、審査裁決の内容は別表(一)記載のとおりである。

(二)  原告の所得金額の算出根拠について

被告において原告のした本件各係争年分の確定申告を調査したところ、左記のとおり未収利息の計上もれ等があったため更正処分をしたが、所得金額及び法人税の計算内容は別表(二)記載のとおりである(但し第三次年度分については審査請求による一部取消後のものである)。

1  未収利息(損害金を含む)計上もれについて(第一次ないし第三次年度)

原告は、未収利息として、第一次年度につき合計三九〇、三六〇円、第二次年度につき合計一、〇五五、六三四円、第三次年度につき合計一、一五三、五〇一円を益金に各計上した。

しかしながら、被告において、原告が提示した貸付金原票もしくは原告代表者佐々木美彦の申立により弁済期日を調査し、また同原票の利息欄の入金日の記帳に基き約定利息の収入があったつど利息制限法による制限超過部分の利息、損害金を元本に充当して原告の未収利息を計算すると、(1)貸金のうち決算日までに履行期日が到来しないものについての利息制限法一条に定める制限利率による未収利息(本項においては(1)の分という)、(2)履行期日以後決算日までに債務の履行されない貸金についての利息制限法四条に定める制限利率による未収利息(本項において(2)の分という)は、第一次年度が(1)の分一九八、二七二円、(2)の分四三四、九五一円(合計六三三、二二三円)、第二次年度が(1)の分一五〇、三八九円、(2)の分一、四四四、九〇二円(合計一、五九五、二九一円)、第三次年度が(1)の分一〇三、八六五円、(2)の分一、三四五、〇六四円(合計一、四四八、九二九円)となり、その詳細は別表(三)ないし(五)及びその各付表(一)(但し裁判所の認定額欄の記載を除く)、(二)記載のとおりであるが、各年度の原告による益金計上額との差額はそれぞれ二四二、八六三円、五三九、六五七円、二九五、四二八円となるので、被告は、別表(二)記載のとおり、右差額の範囲内の額を益金に計上したものである。

2  調査費について(第一次ないし第三次年度)

原告は、債務者から収受した受取手数料に六〇パーセントの定率を乗じて調査費の金額を見積って計算し、第一次年度につき六七、二〇〇円、第二次年度につき四一、三四〇円、第三次年度につき四六、一二〇円を損金に計上した。

ところで、法人が費用を決算上損金に計上した場合それが税法上損金として認められるためには、法人税法二二条三項、四項の規定により、その損金が現実に確定的に発生し、その発生額が一般に公正、妥当と認められる会計処理の基準に従って適正に計算決定され、その事業年度に帰属するものと認められることを相当とする事情がなければならない。

しかるに、原告が損金に計上した調査費は確定的に発生したものでなく、またその使途が明らかでないし、一定期間の損金を一定率で推定計上することは一般に公正、妥当と認められる会計処理とは認められない。

よって、被告はこれを否認し、益金に加算した。

3  厚生費(新年宴会費用)五万円について(第二次年度)

この費用が原告代表者の妻佐々木洋子に支払われたことは認めるが、その具体的な使途が明らかでないから、調査費の場合と同じ根拠により益金に加算した。

4  雑費(1)(創立記念費用)七万円について(第二次年度)

この費用が原告代表者に支払われたことは認めるが、その具体的使途が明らかでないから、調査費の場合と同じ根拠により益金に加算した。

5  雑費(2)(山林立木の取得価額に加算すべき下刈費用)一一八、九〇〇円について(第二次年度)

法人税法二二条四項には、別段の定めがあるものを除き、収益及び損金の額は、一般に公正、妥当と認められる会計処理の基準に従って計算すべき趣旨の定めがあるが、一般に公正、妥当と認められる簿記会計上における慣行に従えば、山林立木を肥培育成するために回避することのできない費用であるから、例えば製造業における製造原価(当該資産の製造のために要した原材料費、労務費及び経費)である製造経費に当るものであって、当然に取得原価を構成するものである。

右の一般会計の処理基準からみれば、植栽のための地ごしらえから成林に至るまでの造林に要する一切の費用(地ごしらえ費、種苗費、間伐費、管理費等)は、山林立木の資産価値を高めるものとして「山林立木の取得価額」に算入すべきであるから(昭和四四年五月一日直審(法)二五法人税基本通達七-三-一三)、被告はその損金経理を否認して益金に加算したものである。

6  収入利息計上もれ七〇、六七七円について(第三次年度)

原告は、訴外佐々木喜和人から、昭和四五年六月六日以後同年一〇月八日までの貸金の合計金額一九万円に第一次年度の未収利息二三、七二四円及び第二次年度の未収利息七七、三九〇円を加算した合計債権額二九一、一一四円の代物弁済として、昭和四七年四月一八日と同年八月五日に山県郡加計町所在の計六二七平方メートルの田を現金一〇万円を加えて取得した。

ところが原告は、右代物弁済によって合計一〇一、一一四円の未収利息を収受しながら第三次年度の収入利息に計上していないので、被告はその範囲内である七〇、六七七円を益金に加算したものである。

7  雑損(災害による建物評価損)一五〇万円について(第三次年度)

原告は、広島県山県郡加計町大字加計字神田三五二九番地の二所在の通常母家と称する建物が災害により損傷したとしてその評価損一五〇万円を損金に計上した。

ところで、法人税法三三条一項には、法人が資産の評価換えをして帳簿価額を減額したときは、その減額した金額は損金の額に算入しない旨規定している。また同条二項には、預金、貯金等以外の資産については、特定の事実が生じたことによって時価が帳簿価額を下回ることとなった場合に、法人がその資産の評価換えをし、損金経理によって帳簿価額を減額したときは、そのうち帳簿価額と時価との差額に達するまでの金額を損金の額に算入する旨規定している。

そこで被告において、災害のあった事業年度末の母家の価額について調査したところ、昭和四七年当時の木造家屋の建築価額が三・三平方メートル当り一二万円から一六万円であったとの精通者意見をもとにその平均価額を一四万円として時価を算出すると別表(六)の(1)のとおり二、六三三、九二五円となり、また山県郡加計町近傍の木造建築を主体とする建築業者二名について昭和四七年当時の三・三平方メートル当り建築価額の請負金額を帳簿資料に基づいて調査したところ、その平均価額は別表(六)の付表のとおり一三四、七二四円となり、これにより計算すると災害のあった事業年度末の母家の価額は別表(六)の(2)のとおり二、五一九、〇六九円となった。そうすると、被告の評価した母家の価額はいずれの算出方法によっても原告の帳簿価額一、七四八、八三五円を下回らず、したがって法人税法三三条二項の規定が適用されないで、同条一項の規定が適用されることになるから、被告はその評価損を否認して益金に加算したものである。

8  建物除却損失七四、四九七円の損金認容について(第三次年度)

原告は災害により流出した次の建物の価額を損金に計上しなかったので、被告は左記のとおりその帳簿価額の全額を損金として認容した。

(1) 家屋(離れ) 山県郡加計町三五二九番地の二所在

期末帳簿残高 四三、一八二円

(2) 車庫 同番地の一所在

期末帳簿残高 二一、七四五円

(3) ボート小屋 同番地の二所在

期末帳簿残高 九、五七〇円

9  未収利息の損金認容について(第二次及び第三次年度)

第一次及び第二次年度に益金に加算した未収利息が第二次及び第三次年度に計上されているので、二四一、四八七円、四八七、九五九円をそれぞれ損金に認容したものである。

10  事業税の損金認容について(第二次及び第三次年度)

第一次及び第二次年度の各増額更正処分により、第二次及び第三次年度の損金として認められる未払事業税の額が増加するので、それぞれ一八、四八〇円、三〇、四八〇円を損金に認容したものである。

11  退職給与引当金繰入損失一一九、五八〇円について(第三次年度)

原告は、法人税法施行令一〇九条に規定する提出期限までに被告に対し退職給与規程を提出していないにもかかわらず、退職給与引当金の繰入損失を損金に計上した。

ところで、法人税法五五条一項の規定による退職給与引当金の繰入損失が損金として認められるためには、確定申告書の提出期限までに退職給与規程を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされている(同法施行令一〇九条)。しかるに、原告は所定の期限までに退職給与規定を被告に提出しなかったので、被告は退職給与引当金繰入損失を否認して益金に加算したものである。

(三)  よって原告の総所得金額の範囲内でなされた本件各更正処分(但し第三次年度分については、審査裁決により一部取消された後のもの)は適法である。

五  被告の主張に対する原告の答弁

被告の主張(一)の事実は認める。同(二)の事実のうち、原告が未収利息、調査費、災害による建物評価損として被告主張の額を益金、損金に計上したこと、原告が第二次年度に新年宴会費用五万円、創立記念費用七万円、山林立木の下刈費用一一八、九〇〇円、第三次年度に退職給与引当金一一九、五八〇円をそれぞれ損金として計上したことは認める。同(二)の1の事実についての認否は別表(三)ないし(五)の「原告の認否」欄記載のとおりであって、未収利息を否認したものについての個別の否認理由は別表(三)ないし(五)の「原告の否認理由」欄記載のとおりであるが別表(三)ないし(五)の各付表(二)のうち氏名欄から収入利息欄までに記載の各事実はすべて認める。なお原告は各債務者らとの間で遅延損害金の約定はしておらず、弁済期日に一部入金のあった場合は原告と当該債務者との合意で弁済期日を延期しているが被告は右延期の事実を認めず、弁済期日の翌日から決算期までの遅延損害金を計算してこれを未収利息としている。同2については、貸金業においては業務の性質上信用の調査等画一的にはできず、そのため調査費用の明細を克明に記帳することは極めて困難であって、原告は被告の同意を得て貸付金額に対する一定割合額を調査費として支出経理していて、この取扱いの承認は十数年に及ぶのであるが、この間被告は一度も否認することなく、また処理の変更を指示したこともないのであるから、従前の処理方法が公正、妥当な会計処理基準に反しているとは考えられない。同3については、いずれの企業でも実施している行事の費用であり、その支出額も企業規模相応のものであって、原告代表者の妻に支払ったのは原告代表者宅でその家族用の食料品を使って行なったからである。同4については、企業とすれば当然の支出である。同5については、原告は不動産取引業も行なっており、売却のため所有している山林の管理費用(弁当代、衣服代、靴代等)であって、これらは転売までの費用として損金に加えられるべきものである。同6については、原告が訴外佐々木喜和人から同人所有の田を代物弁済により取得したことは認めるが、これは一九万円と六五、〇〇〇円の二口の債権の代物弁済としたものでそこには被告の主張するような未収利息は含まれていない。なお被告は原告が一〇万円を加えて取得したと主張するが、加えた金額は六五、〇〇〇円であって、この金額は原告において訴外人が、その前所有者に対して負担していた売買残代金を立替払いしたもので、原告が訴外人に対して有していた前記二口の債権中六五、〇〇〇円のものに相当する。同7及び8については、母家、離れ、車庫、ボート小屋は同一敷地上に互いに接して建てられており、かつ、相互に補充し合っているものであるから、これらを各別に評価することは誤りというべきで、右建物の災害直前の帳簿価額は合計一、八二三、三四二円、災害後の時価は三二三、三四二円となったから、その差額一五〇万円は損金に算入されるべきである。なお、被告主張の精通者意見によるものは母家の基本構成部分が廃材によって造られていることを看過している。

六  被告の主張に対する原告の答弁のうち、被告の主張(二)の7及び8に対する原告の答弁に対する被告の反論

離れ等が母家と同一敷地上に建っていたことは原告主張のとおりであるが、離れ等と母家はそれぞれ独立して建てられており、その取得時期、構造、材質、用途、耐用年数にも相違があったと認められるから、母家の時価を算定するに当り、同一敷地上の離れ等を評価上考慮に入れなかったとしても、何ら不合理はない。このことは、離れ等は災害によって流失したが、母家の被害は僅少であった事実からみても明らかである。

七  証拠関係

原告は、甲第一号証を提出し、原告代表者の尋問の結果を援用し、乙第一一、第一二、第一九ないし第二一号証の成立は不知、乙第五号証の一ないし五が、原告所有の母家の状況を撮影した写真であること及びその余の乙号各証の成立は認めると述べた。

被告は、乙第一ないし第四号証、第五号証の一ないし五(いずれも原告所有の母家の状況を撮影した写真である)、第六ないし第一五号証、第一六、第一七号証の各一、二、第一八ないし第二二号証を提出し、証人遠北俊二、同上田安世、同山口平四郎の各証言を援用し、甲第一号証の成立は認めると述べた。

理由

一  請求原因(一)の事実のうち原告が貸金業及びこれに付随する業務を営む会社であること、同(二)及び(三)の事実並びに被告の主張(一)の事実及び原告が未収利息、調査費、災害による建物評価損として被告主張の額を益金、損金に計上したこと、原告が第二次年度に新年宴会費用五万円、創立記念費用七万円、山林立木の下刈費用一一八、九〇〇円、第三次年度に退職給与引当金一一九、五八〇円をそれぞれ損金として計上したことは、いずれも当事者間に争いがない。

ところで、国税不服審判所長が昭和五〇年三月三一日付で原告の第三次年度分の法人税について被告のした更正処分を一部取消し、所得金額を二、二六八、三八八円と減額する裁決をしたことは、右のとおり当事者間に争いがないから、右裁決によって取消された部分についての取消を求める原告の訴はその範囲において不適法というほかない。

二  そこで原告の所得金額について検討する。

(一)  第一次ないし第三次年度における未収利息について

1(1)  別表(三)ないし(五)の「原告の認否」欄に「認」とある債務者らの未収利息額及び別表(三)ないし(五)の各付表(二)のうち「氏名」欄から「収入利息」欄までに記載の各事実は当事者間に争いがない。

(2)  別表(三)ないし(五)の各付表(一)の債務者らについての「貸付年月日・弁済期限」欄から「未収期間」欄までに記載の各事実は原告において明らかに争わないから、これを自白したものとみなす。

2  そこで原告の別表(三)ないし(五)の各付表(一)、(二)の債務者らに対する貸付利率、弁済期限後の遅延損害金の約定の有無及びその利率について検討する。

前記1(1)の当事者間に争いのない事実に、成立に争いのない甲第一号証、乙第一ないし第四、第一五号証、第一六、第一七号証の各一、二、第二二号証、証人上田安世の証言により成立を認める乙第一九ないし第二一号証、証人遠北俊二、同上田安世、同山口平四郎の各証言、原告代表者の尋問の結果(但し一部)を総合すると、原告は、その貸金業務にかかる債務者らから、弁済期の前後を問わず、各貸付金額に対し、その本店所在地である加計地区ではおおむね年七割三分の、支店所在地である戸河内地区ではおおむね年四割八分の各割合による金員を徴収し、いずれにしても原告は、別表(三)ないし(五)の各付表(一)、(二)の債務者らから、貸付金額一〇万円未満のものについては年四割を超える金員を(ただし、第一次ないし第三次年度の戸川道行、第二次年度の戸川ミカエについては、弁済期の前後を問わず、年三割六分以上の割合による金員を)、貸付金額一〇万円以上一〇〇万円未満のものについては年三割六分を超える金員を、そして貸付金額一〇〇万円以上のものについては年三割を超える割合による金員をそれぞれ徴収していたこと、原告は貸付に際して、手形貸付の方法による場合においては、約束手形及び準消費貸借契約締結についての公正証書作成に関する白紙委任状が一体となった書面(乙第一号証)を債務者らからとり、右委任状の「契約事項」の「附随契約」欄には「遅延損害金」とあって原告が債務者らに対し貸付金の返還を求めて出訴するときはその記載を利用して遅延損害金を請求する、など遅延損害金の約定をしていたことが認められる。原告は、債務者らとの間で遅延損害金についての約定はしておらず、弁済期日に一部入金のあった場合は双方の合意によって弁済期日を延期している旨主張し、原告代表者の供述中にはこれに沿うような部分もあるが、その部分はにわかに措信し難く、他に前記認定を覆すに足りる証拠はない。

そうすると、原告は、弁済期の前後を問わず、貸付金額に対する同一割合の金員を徴収していたものの、弁済期までは利息として、それから後は損害金として徴収していたものというべく、利息、損害金の利率については、いずれも利息制限法所定の制限利率を超える約定(ただし、戸川道行及び戸川ミカエとの間では遅延損害金について少くとも年三割六分の割合とする約定)をしていたものということができる。

3  次に別表(三)ないし(五)の各付表(二)の債務者らに関する未収期間について検討するのに、前記1(1)の当事者間に争いのない事実に、前掲乙第一九ないし第二一号証、証人上田安世、同遠北俊二の各証言を総合すると、右の債務者らに関する未収期間は別表(三)ないし(五)の各付表(三)の「未収期間」欄記載のとおりであることが認められる。

4  なお、原告は、収入利息中利息制限法超過による元本充当額を取立不能見込額として所得額の計算をすべき旨の主張をする。確かに収入利息のうち利息制限法を超える部分は元本に充当されるものと解すべきであるから、有効に残存する元本についてのみ課税の対象となるべき未収の利息・損害金を生ずることとなるが、しかし当事者間において約定の利息・損害金として授受され、貸主において当該制限超過部分が元本に充当されたものとして処理することなく、依然として従前どおりの元本が残存するものとして取扱っている以上、本来元本に充当されるべき部分も取立不能見込額となるものではない。したがって、この点に関する原告の主張は理由がない。

5  そこで、別表(三)ないし(五)の各付表(一)、(二)の債務者らについて、貸付金額に応じて利息制限法一条一項、四条一項の制限利率に従い(ただし、第一次ないし第三次年度の戸川道行及び第二次年度の戸川ミカエについては利息は年二割、損害金は年三割六分の割合による)、それぞれ算出された利息、損害金を収入利息から差引いた差額を順次元本に充当して原告の債務者らに対する未収の利息、損害金を算出すると、別表(三)ないし(五)の各付表(一)の債務者らについては同付表(一)の「裁判所の認定額」欄記載のとおりであり、同各付表(二)の債務者らについては同各付表(三)の「未収利息」「未収損害金」欄記載のとおりである。

なお、右計算に当っては、第二次年度の期間については一年を三六六日とし、又、利息が貸付年月日当時天引されているときは、利息制限法二条の規定により制限超過部分を元本に充当し、右以外の場合で収入利息、損害金の支払日がそれらに対応する計算期間内であるときは、収入利息、損害金の支払日の翌日から計算期間の最終日までの日数の利息、損害金については前払いがなされているものとみて充当前の貸付残高をA、収入利息、損害金のうちその支払日までの利息、損害金を控除した残高をB、元本充当額をXとして、

X+(A-X)×利率×日数(支払日の翌日から計算期間の最終日までの日数)÷1年分の日数=B

の計算式により元本充当額を算出した(例えば、別表(四)の付表(三)の債務者政岡フサエについていえば、昭和四六年六月四日に同年四月八日から同年六月一〇日までの利息として金三八、四〇〇円が支払われているから、元本充当額は

X+(300,000-X)×0.18×6÷366=38,400-300,000×0.18×58÷366

の計算式により、二九、〇四四円となる)。そして、別表(四)の付表(二)の沖田福美(1)につき昭和四六年五月二四日支払の収入利息の期日の最終日と同年一〇月一日支払の収入利息の期間の初日が重複し、中野森重につき昭和四五年九月一六日支払の収入利息の期間の最終日と同年一一月四日支払の収入利息の期間の初日が重複し、隅田アヤ子につき昭和四六年一〇月二日支払の収入利息の期間の最終日と同年一二月三一日支払の収入利息の期間の初日が重複し、別表(五)の付表(二)の森脇早人につき各支払日における収入利息の期間の最終日とその次の支払日における収入利息の期間の初日が重複しているので、いずれの場合についても、その重複する日は前の支払日の収入利息の期間に含ませ、後の支払日の収入利息の期間はその重複する日の翌日をもって初日とした。別表(五)の付表(二)の田島幸雄、奥田学、中野森重については、同一期間の未収利息として数日に分けて支払われたものがあるところ、各支払日における支払額を確定するに足る資料もないので、原告に有利に最初の支払日に各収入利息金額が支払われたものとして取扱った。また第三次年度の戸川道行について、被告の主張によると、第二次年度の最終の元本充当後の貸付残高は二九、九五五円であるのに第三次年度の貸付残高は二七、〇二三円となっていて二、九三二円の差額を生じるところ、被告が収入利息の計算を示していない期間(別表(四)及び(五)の各付表(二)を対照すると、収入利息の計算を示していない期間は、昭和四六年四月六日から同年六月七日まで六三日間である)について貸付残額を二九、九五五円、損害金の率を年四割として遅延損害金の額を算出すると、二、〇六八円(端数切捨て)となり、これに右差額二、九三二円を加えると五、〇〇〇円となるところからして、右期間中の損害金として昭和四六年一二月三一日から昭和四七年一二月一八日までの間に五、〇〇〇円の入金があったものと推認されるので、原告に有利に、すなわち未収利息・損害金が少なくなるよう、昭和四六年一二月三一日に同年四月六日から同年六月七日の期間に対応する金五、〇〇〇円の入金があったものとして取扱った。

そうすると、原告の未収利息(損害金を含む)額は、第一次ないし第三次年度につき、それぞれ別表(三)ないし(五)の「裁判所の認定額」欄記載のとおり、第一次年度が合計六三三、一〇五円、第二次年度が合計一、五八二、八三九円、第三次年度が合計一、四二七、三四五円となる(但し、この「裁判所の認定額」欄記載の金額は、前記認定の別表(三)ないし(五)の各付表(一)の「裁判所の認定額」欄記載額及び同各付表(三)の「未収利息」「未収損害金」欄記載額の計が被告主張額を超えるときは、被告主張額をもって認定額としたものである)。

しかして別表(三)ないし(五)の「裁判所の認定額」欄記載額の合計額と原告による益金計上額との差額は、第一次年度が二四二、七四五円、第二次年度が五二七、二〇五円、第三次年度が二七三、八四四円となるから、被告において、第一次及び第二次年度につき右の差額の範囲内の額を益金として加算したのは正当であるが、第三次年度については右の差額より二一、五八四円多く益金に加算したのは不当である。

(二)  第一次ないし第三次年度における調査費、第二次年度における厚生費(新年宴会費用)及び雑費(1)(創立記念費用)について

1  調査費 六七、二〇〇円(第一次年度)、四一、三四〇円(第二次年度)、四六、一二〇円

(第三次年度)

証人遠北俊二の証言、原告代表者の尋問の結果によると、原告は、その貸金業にかかる債務者らから調査料の名目で貸付金額に対する一定額を徴収し、その徴収した調査料に対する六〇パーセントを調査費として損金に計上したものであること、しかしその調査費というのは、単に見込計上されたもので確定した費用ではなく、又、その費途は不明であることが認められる。

2  厚生費 五万円・雑費(1)七万円

証人遠北俊二の証言によると、右厚生費は新年宴会費用として原告代表者の妻佐々木洋子あてに、右雑費(1)は創立記念費用として原告代表者あてに支払われたものとして原告の経費帳に記載されていること、しかしながら右の各費用はいずれもその費途が不明であることが認められる。原告代表者は、自家用の材料を利用して原告代表者宅で新年宴会を行ない、その費用として原告代表者の妻に支払った旨、又創立記念費用についても新年宴会費用と同様である旨供述するが、その部分は、前掲証人遠北俊二の証言に照らしてにわかに措信できず、他に前記認定に反する証拠はない。

そこで右の各費用が原告の当該各年度の損金に算入されるべきか否かを検討するのに、右の各費用が損金に導入されるためには、当該事業年度終了の日までに債務の確定していること(法人税法二二条三項二号)、その費途が明らかであることを要するものというべきところ、前記認定のとおり、調査費については、単に見込計上されたものでその費途も不明であり、厚生費及び雑費(1)もその費途が不明であるから、これらの費用は損金に算入されないものというほかなく、したがって、被告がこれらの損金を否認して益金に加算したのは正当である。

(三)  第二次年度における雑費(2)(山林立木の取得価額に加算すべき下刈費用)一一八、九〇〇円について

1  原告が第二次年度に山林立木の下刈費用として一一八、九〇〇円を損金に計上したことは、前記一のとおり、当事者間に争いがないところ、この事実と証人遠北俊二の証言を総合すると、この費用は山林立木の下刈費用として支出されたものであることが認められ、この認定に反する原告代表者の供述部分はにわかに措信し難い。

2  ところで、山林立木の下刈費用は当該山林立木を育成するために不可欠の費用ということができるところ、本件における山林立木が、たな卸資産であるのか、固定資産であるのか、必ずしも明らかでない。しかし、仮にたな卸資産とすると、自己の製造、採掘、採取栽培、養殖その他これらに準ずる行為のために要した原材料費、労務費及び経費の額は当該資産の取得価額を構成するものであるし(法人税法施行令三二条一項二号イ)、固定資産とした場合にあっては、山林立木は非償却資産であって、非償却資産の取得価額について法人税法上明文の規定はないが、原則として償却資産の取得価額に関する規定が類推適用されるものと解すべく、そうすると、自己の建設、製作又は製造に係る減価償却資産については、当該資産の建設、製作又は製造のために要した原材料費、労務費及び経費の額は当該資産の取得価額を構成するものであるから(法人税法施行令五四条一項二号イ)、いずれにしても本件における山林立木の下刈費用は当該山林立木の取得価額を構成すべきものである。したがって、被告がこの費用について原告のした損金経理を否認して益金に加算したのは正当である。

(四)  第三次年度における収入利息計上もれについて

原告が訴外佐々木喜和人から同人所有の田を代物弁済により取得したことは当事者間に争いがない。そして、成立に争いのない乙第一八号証、証人山口平四郎の証言並びに弁論の全趣旨によると、原告は、佐々木喜和人に対して別表(四)の付表(一)記載のとおり三口の貸金債権を有していたところ、これら三口の貸金債権の元本合計一九万円とこれら貸金の利息、損害金等を含めた債権に対する代物弁済として佐々木喜和人が買受けていた前記田を取得したことが認められ、右認定に反する原告代表者の供述部分は措信できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

しかして、原告が佐々木喜和人に対して有する右三口の貸金についての未収の利息、損害金は、昭和四七年三月三一日現在において、別表(四)記載のとおり既に合計七七、二四三円に達していたものであるから、被告がその範囲内である七〇、六七七円を収入利息(損害金を含む)として第三次年度の益金に加算したのは正当である。

(五)  第三次年度における雑損(災害による建物評価損)一五〇万円及び建物除却損失について

原告所有の母家の状況を撮影した写真であることに争いのない乙第五号証の一ないし五、成立に争いのない乙第六ないし第一〇号証、第一三、第一四号証、証人山口平四郎の証言により真正に成立したものと認められる乙第一一号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第一二号証、証人遠北俊二、同山口平四郎の各証言、原告代表者の尋問の結果並びに弁論の全趣旨によると、原告は、広島県山県郡加計町大字加計字神田三五二九番地の二所在の母家、離れ及びボート小屋並びに同番地の一所在の車庫の各建物(以下離れ、ボート小屋、車庫を総称するときは離れ等という)を所有していたが、昭和五七年七月の水害により離れは倒壊し、ボート小屋及び車庫は流出したこと(被告は第三次年度において離れ等につき建物除却損失七四、四九七円を認めた)、しかし母家については、その敷地の一部が流出したため傾きはしたものの著しい損傷は生じず、基礎工事費として三〇万円ないし四〇万円を要したにすぎなかったこと、被告は母家、離れ等の水害による右損傷を理由として前記一五〇万円を損金に計上したものであること、右水害当時の母家、離れ等の帳簿価額は、母家が一、七四八、八四五円、離れが四三、一八二円、車庫が二一、七四五円、ボート小屋が九、五七〇円であったが、母家と離れ等はそれぞれ独立して建築されていて(なお、車庫は母家と接続しているが、単にとりつけてあるにすぎない)、その取得時期、構造、材質、耐用年数等を異にすること、ところで母家は、山県郡加計町所在の有限会社上田工務店が請負い昭和四一年二月に建築されたもので、木造二階建、延床面積四三・二五坪であること、その建築に際しては、海田小学校の校舎解体による古材が桁とか屋根裏などに使用されているが、古材といっても外材で、虫がつかずむしろ内地材よりも丈夫であり、したがって上田工務店もその請負価額の見積りに当って新しい材料と古材とで区別はしなかったこと、ところで、昭和四七年当時の山県郡加計地区における建築業者の木造家屋の平均請負価額は坪当り一四万円程度で、又、同地区の木造建築を主体とする建築業者は有限会社上田工務店と中本政登の二名であって、この二名について平均請負価額を算出すると、その基準となる請負工事は上田工務店については別表(六)の付表の建築業者の「氏名」欄にAとある四例、中本政登については同付表の建築業者の「氏名」欄にBとある四例があり、したがって平均請負価額は同付表記載のとおり坪当り一三四、七二四円となること(但し、一坪を三・三平方メートルとする)、が認められる。

そうすると、本件母家の平均請負価額も坪当り一三万円ないし一四万円程度と推認され、少くとも別表(六)の付表の基準例中最も低額の坪当り一一一、三九四円を下ることはないものと推認される。そこで坪当りの平均請負価額を一一一、三九四円として母家の再建築価額を算出すると四、八一七、七九一円となるので、法定耐用年数二四年(減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一中「木造又は合成樹脂造のもの」のうち「店舗用、住宅用、寄宿舎用、宿泊所用、学校用又は体育館用のもの」についての耐用年数)、定率法の償却率〇・〇九二(同省令別表第一〇の耐用年数二四年に対応する定率法の償却率)として別表(七)記載のとおり減価償却して昭和四八年三月三一日当時の母家の残存価額を求めると二、四一四、〇〇二円で、これから水害による基礎工事費として、前認定のとおり三〇万円ないし四〇万円を要しているので、四〇万円を控除すると、二、〇一四、〇〇二円となる。したがって、昭和四八年三月三一日当時本件母家の時価は二、〇一四、〇〇二円を下ることはないものと推認される。

ところで、内国法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されず(法人税法三三条一項)、内国法人の有する資産につき災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下ることとなった場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額のうち、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額は前項の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する(同条二項)とされている。

しかしながら、本件母家については、災害による著しい損傷は存しないのみならず、その昭和四八年三月三一日当時の時価も帳簿価額である一、七四八、八五四円を下るとは認められないから、被告が一五〇万円の損金を否認して益金に加算したうえ、倒壊又は流出した離れ等の帳簿価額合計七四、四九七円を損金として認めたのは正当である。

なお、原告は、母家と離れ等は同一敷地上に互いに接して建てられており、かつ、相互に補充し合っているから、これらを各別に評価することは誤りである旨主張するが、前認定のとおり、母家と離れ等は、その取得時期、構造、材質、耐用年数等を異にするのであるから、これらを各別に評価したことは相当である。

(六)  第二次及び第三次年度における未収利息の損金認容について

第一次及び第二次年度に被告がそれぞれ二四一、四八七円、四八七、九五九円を益金に加算したのは、前説示のとおり、正当であるところ、これらはいずれも各次年度において収入利息あるいは未収利息として益金に計上されるべきものであるから、被告がこれらを各次年度の損金として認容したのはもとより正当である。

(七)  第二次及び第三次年度における事業税の損金認容について

1  前説示のとおり、被告が第一次年度について未収利息二四一、四八七円、調査費六七、二〇〇円を益金に加算したのは正当であるから、その結果事業税の課税標準となる所得も増加するので、その増加した所得額に対応する事業税額は第二次年度の損金に算入されることとなるから、

308,000(円)×6/100(地方税法二〇条の四の二、七二条の二二)により算出した一八、四八〇円を被告が第二次年度の損金に算入したのは正当である。

2  前説示のとおり、被告が第二次年度について未収利息四八七、九五九円、調査費四一、三四〇円、厚生費五万円、雑費(1)七万円、雑費(2)一一八、九〇〇円を益金に加算し、未収利息二四一、四八七円、事業税一八、四八〇円を損金に認容したのは正当であるから、右1と同様に、

508,000(円)×6/100 により算出した三〇、四八〇円を被告が第三次年度の損金に算入したのは正当である。

(八)  第三次年度における退職給与引当金繰入損失一一九、五八〇円について

原告が法人税法施行令一〇九条に規定する提出期限までに被告に対し退職給与規程を提出していない事実は、原告において明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。

そうすると、被告が退職給与引当金繰入損失として損金に計上した一一九、五八〇円の損金経理を否認し、益金に加算したのは正当ということができる。

三  以上の説示によると、原告の第一次及び第二次年度分の法人税についての課税所得金額は別表(一)の「2更正」欄の「所得金額」欄記載のとおりであるから、右の各年度分について被告のした更正処分は適法ということができるが、第三次年度分については、未収利息として二一、五八四円多く加算されているので、課税所得金額は二、二四六、八〇四円となり、したがって被告のした更正処分はこの限度においてのみ適法ということになる。

四  よって、原告の本訴請求は、被告のした第三次年度分についての更正処分のうち所得金額二、二六八、三八八円を超えて取消を求める部分は不適法であるからこれを却下し、第一次及び第二次年度分についての更正処分の取消を求める部分は理由がないからこれを棄却し、第三次年度分についての更正処分のうち、所得金額が二、二四六、八〇四円を超え二、二六八、三八八円以下の部分について取消を求める部分は理由があるからこれを認容し、所得金額が二、二四六、八〇四円以下の部分について取消を求める部分は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 森川憲明 裁判官 大前和俊 裁判官 吉田徹)

別表(一)

(「第一次年度」) (「第二次年度」) (「第三次年度」)

<省略>

(「第一次年度」) (「第二次年度」) (「第三次年度」)

<省略>

別表(二)

所得金額及び法人税の計算内容

<省略>

<省略>

別表(三)

(第一次年度)

<省略>

<省略>

別表(三)の別紙(原告の否認理由)

<1> 一部の元本繰入額が過少であり、したがって差引元本金額も誤りである。

<2> 未収期間の起算日が不当に前に遡っている。

<3> 原告は債務者との間で遅延損害金の約定をしていないにもかかわらず、利息制限法四条一項の利率による遅延損害金が計算されている。

<4> 約定利率による収入利息中利息制限法所定の利息を超過する部分を元本に充当しその充当後の元本につき未収利息を計算すべきであるが、この場合において帳簿上の元本は充当前のまま据置かれるため、右計算による未収利息より取立不能見込額たる元本減額部分(充当前と充当後の元本差額部分は有限会社法四六条、商法二八五条の四、二項によりいわゆる取立不能見込額とみなすべきである)を控除すべきであるのに、被告はこの控除をしていない。

別表(三)の付表(一)

<省略>

(注) 弁済期限中「()」欄記載の期限は原告の申立によるものであり、年利率、被告主張の未収利息額、裁判所の認定額の各欄に、(イ)とあるのは利息を、(ロ)とあるのは遅延損害金を、未収期間欄の「()」内の数字は当該期間の日数を示す。

別表(三)の付表(二)

未収利息の計算根拠

第1次年度分

<省略>

別表(三)の付表(三)

<省略>

(注) 未収期間欄の「()」内の数字は日数を示す。

別表(四)、(五)の各付表(三)においても同様である。

別表(四)

(第二次年度)

<省略>

<省略>

別表(四)の付表(一)

<省略>

(註) 利率中()欄記載の利率は被告の主張によるものである。

別表(四)の付表(二)

未収利息の計算根拠

第2次年度分

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別表(四)の付表(三)

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別表(五)

(第三次年度)

<省略>

<省略>

別表(五)の付表(一)

<省略>

(注) 利率中( )欄記載の利率は被告の主張によるものである。

別表(五)の付表(二)

未収利息の計算根拠

第3次年度分

<省略>

<省略>

(第2次年度分の元本充当後の貸付残高参照)

<省略>

<省略>

<省略>

別表(五)の付表(三)

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

別表(六)

(1) 精通者意見を基にした母家の時価の算定根基

<省略>

(注)<1> 母家の建築年月日は昭和41年2月である。

<2> 耐用年数は24年、償却率は0.092(定率法)として計算した。

<3> 再建築価額6,055,000円の計算根基

3.3m2当り建築価額

140,000円×142.96m2(43.25坪)=6,055,000円

<4> 時価の計算

3,033,925円-400,000円=2,633,925円

(2) 建築業者の請負金額の資料を基にした母家の時価の算定根基

<省略>

(注)<1> 耐用年数及び償却率は(1)精通者意見の場合と同じである。

<2> 再建築価額5,825,775円の計算根基

3.3m2当り平均建築価額

134,724円×142.96m2(43.25坪)=5,825,775円(付表参照)

<3> 時価の計算

2,919,069円-400,000円=2,519,069円

別表(六)の付表

近傍地建設業者の3.3平方メートル当り平均建築価額の計算根基

<省略>

別表(七)

<省略>

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